一般的には、店舗型であり、このDOCOMO Shopは、郊外1棟型の比較的大きな携帯専用ショップで、希なケースである。全体は、オープンスペースの待ち合いとカウンタースペース、バックオフィス、そして、2階に広めの会議室と小会議室がある。ショップ部分は、地域のパブリックスペースとして捕らえ、市民(利用者)の快い居場所として提供出来ればと考えた。公共性は地域と繋がる方法である。そして、このショップ部分の2層の大空間からなるヴォリュームは、単調なボイド空間に成らぬように、魅力ある空間の提供がテーマのであった。抽象的な人工の森をイメージし開放的な空間を想定し、ダイナミックでエレガントな構造体と意匠性が一体と成った空間体感のあるスペースを求めた。 (木村博昭)
新しいイメージを放っているDOCOMO Shopの特徴は,細い柱が林立する開放的な空間 である.この空間は待合スペースのため,壁やブレースが配置できず,可能な限り細い部材であることが要求された.そこで,地震力は全て事務スペース部のラーメンで 負担し,待合スペースは鉛直荷重と積雪荷重に耐えられるように設計することで,φ 114.3パイプの林が実現した.待合スペース上部の屋根の地震力を事務スペース部に伝 えるため,屋根のトラスは剛接にした.また,丸パイプを曲げて加工した家形フレー ムは単体では非常に弱く,わずかな鉛直荷重しか支えられない.そこで,家形フレー ムが集まる位置に厚いダイヤフラムを配置し,家形フレームを強化した.このダイヤ フラムは,頂部から鉛直荷重を受けた家形フレームが広がるのを拘束する効果もある.また,非常に細い部材で座屈が心配だが,立体骨組解析を行い立体的な座屈の検 討も行った.
(京都工芸繊維大学 森迫/金尾構造研究室 金尾 伊織)