この敷地は、田畑を造成された約100坪と60坪の2区画を併せた南北に細長い宅地で、周辺の景観を期待出来ない平坦な敷地である。この2区画の敷地に、それぞれ住居部と駐車部分を区画に合わせ計画を進め、結果的に、現代性と地域の昔ながらの閾たりや習慣を残した、新田園住宅が完成した。
この地域は、過去に津波による浸水被害があり、また、近年予想される地域である為、地盤面より持ち上げ、スチールシートの鉄箱(居住部)を浮かせた構造とした。丁度、乗り物のような動きと、車両のような浮遊感のある眺めを得る事が出来た。
内部は、スチールシートの構造体が露出した民家の半外部の様な、素朴な広い土間玄関と和室の応接間と客間を兼ねたパプリックな場所、そして、家族が占有する清潔感のある白いリビングとダイニングと各寝室、水回りをまとめた光と風抜きの三角ハイサイドライトのある柔らかな木目の廊下空間、この3つの異なる性質の空間が文節しながら連続している。 全体は、浮いた住居棟と、スチールシート造の駐車棟を配置して、コートハウス状に庭を囲み込み、周辺環境からやや閉ざしながらも開き馴染ませた。